花の高校生って たったの三年しか味わえないなんて想うと、
あたしは勿体亡い気がする
昔は「すぐ大人になりたいなー」とか
私服姿の大学生に憧れたものだけれども
こんな気だるい毎日も良いかな、とか
好きな人を見ては時めくだけの毎日も幸せよね…とか
暇すぎて馬鹿すぎて幸せなのかもって想える
もし、もし、あの檜佐木君があたしの傍に居てくれたりしたら
( 考えただけでニヤニヤが止まらないわ )
妄想は止まる事を知らない
( 妄想は犯罪じゃなくて良かったね、あたし )
でもね でもね
転校してきたくせに 勝手に懐いてきてくる奴が居る
アイツはバス停であたしを見かけると必ず話しかけてくる
オカッパHIRAKO という名の悪夢
「 ありゃ、お久しぶりやないのサン 」
「 昨日もそうやって此処で話しかけてますよ平子サン 」
「 嬉しいわー、名前覚えてくれてんやな 」
「 そういう問題じゃないってのタコ 」
はあー、とため息を吐くと 彼は歯並びの良い口をニィーと横に綻ばせる
「 ええわなあ…サン 」
「 は? 」
「 恋してる目やで 」
「なんですって」
「 相手は誰や?ぁ、俺k「 アンタじゃないけどね★ 」
図星…( いや、断じて平子が好きというのは図星ではないけれどね! )
そう目を逸らして 思わず脳裏に檜佐木君の顔を思い浮かべる
( 思わず顔までもが赤くなってしまった )
ははぁ とまた平子はニヤリと笑って
頬に( 69 )と描くシチュエーションを繰り返す
こいつやろ?と笑いながら
あたしは図星すぎてもう何も言えなくなって
…そう、ベシッと平子の細長い肩を叩く
「 なんやなんや 図星か 」
「 違うよ 」
「 素直やないのお 」
「 素直に言えるか! 」
思わず顔を真っ赤にして泪を眼に貯める
こんな奴に あたしの気持ちを測られるなんて情けない
「 んな顔すんなや 誘っとるん? 」
「 死になさい 」
「 俺はサンがお気に入りやけど? 」
そう とあたしはフイと眼を右にやる
バスがやっと来た
…まだコイツと一緒なのか そう想うと背中がカユくなってきた
でも平子は立ち止まり続けた
あたしがバスの踏み台に足をかけても 彼はニコニコと笑みを浮かべ続けた
バスに乗らない意味不明馬鹿平子を思わず急かす
「 何、あんた乗らないの 」
「 なあ、俺には何も想ってないん? 」
「 なんにも ただの転校生 」
「 俺は格好良くて優しくておしゃれでキュートやど? 」
「 うん 格好良くも優しくもおしゃれでもキュートでも亡いかな 」
「 あいつなんてただの阿呆の子や? 俺にしときい 」
それは、
「 檜佐木君に言ってほしかったかな 」
思わず苦い笑いを向けた
ほら君乗るの乗らないの、とバスのおじさんに急かされる
あたしは
( ごめんなさい降ります、 )
と降りてしまった
「 ありゃありゃ 降りてもうたん? 」
「 あんたが告白まがいな事するからでしょ 」
「 告白ちゃうで? 」
( まだ 完全には落としきってない )
に、とまた笑って
あたしの頬を勝手に撫でてきた
すごいむかつく
別にアンタとなんか帰りたくないのに
違うのに
一瞬
一瞬
彼は、ふいに唇に唇を触れさせ
ちゅ、と離された
「 平子、… 」
「 ナニ? 」
「 鼻からハナクソ出てた 」
「 嘘!?マジ!?…狽ヨぶらっ!!; 」
あたしは一発エルボーかましてから
ものすごい勢いでバスを追いかけた
そうしたら平子ももの凄い勢いで追いかけてきた
「 おんどれ!ハナクソどころか違うモンが出てもうたやないか! 」
「 それは血だバカ平子!
アンタが勝手にキスしてきたんでしょうが! 」
「 ああ、血か 」
「今頃そこに納得するか!」
疲れたのだろうか、平子はふと止まって ( またなサン )とあたしに言う声が聞こえた
「 おんどれこそ 面真っ赤にして、言われとうないわ 」
顔が火照る火照る
( このムシャクシャする気持ちを力に変えて走ってる気分 )
唇をグイ、と拭って 鞄にあるペットボトルを取り出して飲み干す
馬鹿馬鹿何顔あかくしてんのよ
あたしも平子も馬鹿すぎなのよ
あたしは思わず
一瞬、
一瞬
…平子と手を繋ぐ妄想をして
ぱっともみ消した
( 人はどんな状況でも )
( 愛されたいと願っていると知りました )
嗚呼何よりも今すぐに檜佐木君に会いたくなりました
今すぐこの気持ちを も み 消 し て!
BUS START LOVE!
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はいはい 胡村からの贈り物でしたゲヘヘ
これからも仲良くしてねん
勝手に題名っつーか内容っつーかパクって御免ね(お前)
胡村 ラキ
「 ところで、アイツ 何て名前なんやけ? 」